[海外ドラマ] Yo soy Betty, la fea(私はベティ、ブスよ)

この海外ドラマ’Yo soy Betty, la fea’かなり以前から知っていたけどもスペイン語の翻訳がなかったためストーリーがよく理解できませんでした。今はYoutubeで一部が英訳の字幕がつけられているので内容が理解できるようになりました。翻訳がないエピソードはトランススクリプトの自動翻訳を利用すれば精度はあまりよくありませんがストーリーは理解できます。

このドラマはコロンビアで制作され1999年12月から2001年4月まで169エピソードが放送され大人気を博しました。その後、スペイン語圏で放送されたほか字幕付きまたはリメイク版で多くの国で放映されました。ソープ・オペラと言われるジャンルで、名称から連想されるように日用品を扱う会社がスポンサーなので視聴者は限られていて女性をターゲットとしたシンデラレストーリーと言う筋書きがどのドラマにも共通しています。また制作費が低予算なのでたいてい制作されるドラマはクオリティが今ひとつです。その中で’Yo soy Betty, la fea’はプロット、登場人物の演技が素晴らしくジャンルの枠を越えて幅広い視聴者に共感する作品に仕上がっており今なおその輝きを失っていない数少ないドラマのひとつです。

ストーリーは簡単に言ってしまえばブス(失礼)なベティーがコロンビアのファッション大手のエコモダで社長秘書として雇われて成功するシンデレラ物語ですが、いろいろなエピソードが織り込まれいて、おかしくもあり悲しくもありで飽きさせないストーリーで最後まで楽しめます。ドラマは大雑把にわけて3部構成となっています。1部はエコモダでベティが活躍して何度もアルマンドの危機を救い、ベティとの信頼関係を深めていきます。この段階では物語はゆっくりと進行して行きます。2部は無謀な目標設定とフライドがたたってアルマンドは徐々に会社経営のコントロールを失っていきます。ベティにバックアップ用のテラモダという子会社を作らせて財政危機に陥ったエコモダの資産を保全させます(テラモダがエコモダの資産を差し押さえて銀行などの債権者が競売にかけられないようにする工作)。そしてアルマンドはベティに大幅な権限を与えてエコモダの財務を管理させます。立場が逆転したことに気がついたアルマンドとマリオはベティを誘惑する策略を練って取り返しにかかります。物語はアルマンドとベティの恋愛と復讐で大きく動きます。3部はエコモダを去ったベティは新天地で再起をはかります。みごと変身してエコモダに臨時社長として復帰、そしてハッピーエンドで物語は終わります。

このストーリーを成り立たせているのはハンサムでプライドは高いが実力がない社長アルマンドとブサイクだが優秀な補佐のベティの組み合わせです。そこからいろいろ教訓も得られます。30年かけて築き上げた会社を父親から受け継いで1年足らずで倒産危機に陥り、ベティに頼んで粉飾決算するものの最終的に明るみになります。アルマンドの取り巻きはブレーンのマリオだけで他の社員の意見に耳を傾けません。また意見の対立から経営陣との関係がぎくしゃくします。そのため経営ミスをしても修正が利きません。一方、ベティはエコモダの社員と強い関係を築き、カタリーナの助けを得て対外的にも関係を築いていきます。もちろんカタリーナも将来を見込んでベティに投資する打算もあったはずです。最終的にはベティが社長になってエコモダを経営することになります。アルマンドはサザエさんでいえば婿養子マスオさんに近い境遇に置かれ、ベティに尽くす男になって悲哀を感じなくもありません。

以下、Youtubeから抜粋。

面接で履歴書になぜ写真がないんですか?と聞かれる。(注釈:写真があると書類選考で落とされるのでわざとつけていない)このあと経歴書を見てこんな優秀な人が社長秘書にといぶかしる社長のロベルトに人事のグティエレスが答えて、すこし問題が…かなりブサイクです。

幼なじみで親友のニコラス(左)とベティ(右)。ニコラスもベティに劣らずブサイク。ふたりともマイペースでブサイクをありのままに受け止めて笑い飛ばしている。ニコラスは近所パン屋の息子でベティと同じく大学で経済学を学んでいる。幼なじみでベティの家に出入りしてていっしょに食事を食べていたが、いい年になっても食事を食べに来るニコラスにベティの父親はいい加減やめさせようと思っているが母親はむしろ喜んでニコラスに食事を出したりする。ニコラスはベティのように変われなかったがベティがつらい時に慰めてくれたり、馬鹿にされた時にかばってくれたり、16歳の誕生日のときには誰も見向きもされないベティに父親以外でダンスしたりでいつもベティの味方になってくれて恩義を感じている親友。それでニコラスの無理を聞いてベンツを買ったり、ベティが社長になった時にエコモダの財務担当を任せたりします。

会社を父親から受け継いだアルマンド(左)と親友のマリオ(右)

パトリシア(左)とマルセラ(右)。二人は大学からの友人でマルセラはアルマンドのフィアンセ。パトリシアはマルセラの口利きでアルマンドのスパイも兼ねてベティと共に社長秘書の職を得る。社長秘書にふさわしい美人秘書だが性格は悪くゴシップ好きで毒舌、ベティの敵でもある。借金で苦しくいつもカネの心配をしている。ベティとすべてにおいて正反対の準主役の存在でこのドラマを盛り立ててくれる。エコモダはバレンシア家とメンドーサ家が作った会社で、バレンシア家の両親はマルセラが幼い時に飛行機事故で亡くしてマルセラにとって形見のような会社。バレンシア家のマルセラとメンドーサ家のアルマンドが結婚することでエコモダを安定経営することを思い描いていたが、アルマンドがベティに気があることに感づいたのと財務を押さえて会社経営に深く関わっているベティに辛く当たるようになる。アルマンドもまた支配欲の強いマルセラから逃れようと微妙な心のすれ違いがあってなかなか思い通りの良好な関係にはいきません。最後は弟のダニエルがエコモダを破産させて精算しようとしたので、必死にベティに留まるように頼んで自らエコモダを去る。3年続いた婚約を破棄して、ベティにアルマンドを取られ、またエコモダの経営権を取られ物語では悲劇のヒロインのマルセラだがベティに辛く当たったためあまり同情をされない。

パトリシアとダニエルの会話 。お金がなくて食事にもいけないパトリシアをダニエルが皮肉る。

左からバレンシア家の長女マリア・ベアトリス、モデルのPatricia Vásquez(ゲスト出演) 、ダニエル。マリアはもともとブサイクだったか整形している。名前もベティと同じで物語ではエキゾチックなベアトリス、ブサイクなベアトリスと対比される。ダニエルはアルマンドのライバルでハンサムで冷静、論理的だがサーカスティックでエコモダ社員から嫌われている。ラテン系に男にここまで残念なタイプがいるのか不思議なくらいありえない役柄。

カタリーナはファッションショーのPRのためにエコモダと契約していることからベティと知り合いになる。ベティを補佐として雇い、また人生の先輩としてベティの変身(トランスフォーム)の手助けをする。カタリーナ役のCelmira Luzardoさんは2014年に呼吸器系疾患のため他界している。ドラマの中で唯一、親しみのある役柄で後半のシリアスな展開のドラマで明るい雰囲気の場面を作っている。

社長室の隣の倉庫を改造した秘書室。ベティはエコノミストとして優秀だが不細工のため来客から見られないように都合よく扱われる。でもベティ本人は憧れのアルマンドの近くだからむしろ幸せと思っている。

ベティの機転で何度も危機をを乗り越える。またベティはユーモアのセンスが抜群。ブリーフケースに残されていた携帯を見て「携帯忘れてる。かわいそうな携帯さんは主人の頭がどこにあるのかさえ知らないのね。ははは」(注釈:ベティは何度も携帯を鳴らしてるから)
レセプションでフレディとの会話。今乗り込んで行けば、高価な馬が神経質になるので嫌がるフレディに「フレディ、書類にサインしなければ馬が死ぬかアルマンドが死ぬかどちらかなのよ」、フレディが答えて「正直に言うと、家族にとってアルマンドが死んだほうがいいんだけど」(注釈:希少な血統の馬で高価で人間より大事にされているから)

会社仲間のマリアナにカードでベティの恋愛運を占ってもらう。占いはこの種の物語に定番で物語の転換に重要なカギとなる。マリアナのカード占いはよく当たることで評判がある。ベティが心の中で思っている人の名前を唱えて占ってもらうと吉兆があり、憧れの人とベティに何かいいことが起こるらしい。

エコモダの社員で自称ブサイク組。自分たちの職を守るための強い仲間意識がある。それぞれひとクセもふたクセもある強烈な個性の持ち主でいろんな騒動を起こす。ほかにブサイク組にいいように扱われるメッセンジャーでもありパシリ役でもあるフレディがいる。

アルマンドは意欲的ではあるものの社長としての適性に欠け程なく会社が傾きかける。そこで財務状況が悪化して差し押さえの恐れと融資が受けられないのでベティにテラモダと言う投資会社を作らせてエコモダ支える工作をする。テラモダはエコモダの資産を担保に融資するスキームだったが、ニコラスをテラモダのマネージャとして立てたことにアルマンドがベティとニコラスがエコモダを差し押さえて乗っ取るのではないかという猜疑心が芽生え、マリオとともにベティを誘惑してエコモダを取り戻す策略を密かに実行する。

ベティを誘ってナイトクラブに連れて行き、アルマンドと二人きりになる。

アルマンド:美しい曲だね。
ベティ:そうね。すごく素敵。
アルマンド:私たちもダンスしようか、どうだい?
ベティ:えっ?
アルマンド:私たちがダンスするかってこと。
ベティ:あなたと私?
アルマンド:あなたと私だよ、ベティ。ほかに誰がいる?
ベティ:でも、確かこのようなこと今まで社長(doctor)がしたことないわ。だからあなたが私とダンスすることに興味がなかったんだと思ってたわ。
アルマンド:ダンスしたいの、したくないの?YesそれともNo?
ベティ:ええ、そうよ、もちろんよ。
アルマンド:よし、ダンスしよう。さあ。
ベティ:(心の中で)”彼が私をダンスに誘ってくれた!彼が私をダンスに誘ってくれた!これは夢!?”

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ベティ:はずかしい。私、長いことダンスしたことなかったわ。
アルマンド:落ち着いて、大丈夫。私はプロだよ。

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ベティ:(心の中で)”信じられない!信じられない!"
アルマンド:(心の中で)”信じられない!信じられない!"

すっかり舞い上がってしまったベティ。アルマンドへの複雑な思いが綴られる。

アルマンドからメッセージカードとプレゼントがベティの机の上に毎日のように届けられるようになる。ますますアルマンドへの思いが募っていく。

ベティのウインクは強烈なインパクトがある。

あるきっかけでベティがアルマンドとマリオの策略を知り落ち込んで悲嘆にくれるベティ。カタリーナがベティを慰める。

ベティは経営会議でアルマンドとマリオの策略と本物のバランスシートを暴露してエコモダを去る。

 

アルマンド:「パパ。ごめん」
ロベルト:(会社のことやマルセラのことに)「私はお前を許さない!」

Santiago Cruz – Se dejaba llevar por ti

ベティはカタリーナとともにカルタヘナへ。アルマンドは社長職を解かれ酒に溺れる。

カタリーナの補佐として新しい生活が始まる。徐々に自分らしさを取り戻していく。


アルマンドがエコモダの社長室でベティと叫んだ声がなぜかカルタヘナにいるベティに届いてしまう。そのことがベティの心に暗い影を落とす。

ベティはフランス人のミッシェルと出会い付き合うようになる。ミッシェルはカタリーナのビジネスパートナーでベティに惹かれカルタヘナのレストランのマネージャーにしたいと思っている。

ボゴタに戻る最終日にベティはわだかまりを捨てるためにアルマンドに許しを乞う。

ドラマの後半は美女のオンパレード。ニコラスとベティの両親も美女の祭典に釘付け。普段厳しいベティの父親のエルメスもこのときばかりはぽかんと口を開けて見入ってるので母親のフリアに注意される。

カルタヘナで自分を取り戻したベティはエコモダに戻り、臨時社長として働くことに。すべての女性のためのデザインという企業戦略でブサイク組がファッションショーで披露する。

社長職を解かれたアルマンドは海外マーケティング担当職に格下げてから心を入れ替えたように奮闘する。アルマンドは実はベティを愛していたのでベティが去ってから悶々としていたが、あるときこっそりベティのバッグから日記を盗んで読んでしまう。日記に綴られたベティの本心を知って自分の愚かさに絶望する。

ベティの本心を知ったアルマンドはミッシェルがベティの前に現れてから持ち前の情熱で猛アタックをかける。アルマンドは熱い男なので思い込んだらいかなる手を使っても目的を達成しようとする。ミッシェルとベティがバーで会っている時にアルマンドが乗り込んでいき、その場に居合わせた有名歌手に頼んでベティのためにセレナーデを歌ってもらう。

ベティとアルマンドが結ばれてハッピーエンド。

続編のエコモダのオープニング曲。前編同様、オープニング曲で物語の背景がわかります。不細工なベティが懐かしい。

[テーマ曲]:Se dice de mi

その他:

Picasso en Bogotá

物語に出てくるピカソの展示会は実際にコロンビアの国立博物館で開催(May 13 – August 11, 2000 )されている。招待されたベティとエコモダのブサイク組がカタリーナからピカソの説明を聞くが芸術の話からピカソの私生活に関心が行ってしまう。

  • 撮影機材の一部がドラマに写る。

ORBITEL

ドラマとシナジー効果のあるキモかわいいキャラクターが出てきてしばらく謎だったが、ドラマを見ているうちにORBITELのキャラクターであることを知った。調べたらコロンビアの通信事業者でアメリカ、スペイン、カナダ等で展開している多国籍企業だった。

Mario Duarte

ベティが社長のときのファッションショーの余興のバンドで歌うのはMario Duarte。Mario Duarteはニコラス役。

ゲスト出演

多くのゲストが出演しているが、そのうちの何人かはベティに大きな影響を与えている。

Cecilia Bolocco :1987年のチリ出身のミス・ユニバース。

Taís Araújo:ブラジル出身の女優でありモデル。

バックグラウンド・ミュージック

ドラマのアコーディオンのバックグラウンド・ミュージックはすべてTango(1998)のサウンドトラックの流用です。

他にオリジナルのバックグラウンド・ミュージックがあります。

ドラマに出てきた1990年台から2000年台初頭かけて流行った音楽/アーティスト

1.  ラテン音楽/サルサ


Fruko y sus Tesos con Joseito Martinez – Charanga Campesina

Sonora Matancera – Mala Mujer


JOE CUBA SEXTET – Mujer Divina

Oscar De Leon – Lloraras


Sandy & Papo – Es Hora de Bailar

Trío Los Románticos – Locura mía


Fruko Y Sus Tesos – MOSAICO SANTERO

Willie Colon – Toma Mis Manos


Carlos Vives – Fruta fresca

Rosario Flores – Sabor Sabo


Antonio Vega – Dejaba Llevar Por Tí

RICARDO MONTANER – BESAME


Los Adolescentes – Anhelo

Alfredito Linares – Tiahuanaco


Guayacan Orquesta – Dormida En Mi Hamaca

Miguel Bosé – Los Chicos No Lloran


Fulanito – Cha Cha Cha #7

Nelson y sus Estrellas – La Sirena


Cuerpo y Alma – Mami vuelve a mí

Miguel Bose – Morenamia

2. ポップス/ロック


Moby – Porcelain

Touch & Go – Straight To Number One


Eric Clapton – Change The World

Amber – Sexual


Coolio – Gangsta’s Paradis

Shaggy – Boombastic


Sting – If I Ever Lose My Faith In You

Duran Duran – Girls On Film


Angelmoon – He’s All I Wan

Moby – Natural blues

3. エキストラ
日本にいると米国文化除いて偏った情報しか流れてきませんがスペインから南米にかけてラテン文化があります。このドラマをきっかけに再発見しましょう。

La Oreja de Van Gogh – Roses (2003)

このドラマと類似の作品
魅力ないヒロインが紆余曲折の末、成功するストーリーは定番です。My Big Fat Greek Wedding (2002)もかなりベティのストーリに類似しています。家族の絆、頑固な父親と理解のある母親、魅力ないヒロインがあるきっかけで変身するのはYo soy Betty, la feaと共通です。その反対はLegally Blonde (2001)です。こちらはブロンドでおバカと思われていたヒロインが退屈で難関中の難関のブサイク連中の集まるハーバード・ロースクールに入学して主席で卒業、弁護士になるストーリーです。どちらもコメディタッチで良い作品です。